ズデニェク・コシュラーという指揮者を知っている人は相当の通であると思う。チェコスロバキアの指揮者であり、親日家として知られ何度も来日して国内のオーケストラを指揮しておられた。チェコ・フィルと来日されたこともある。

 このコシュラー、N響とただ一度だけ第九を演奏しておられる。確か1981年だったと思う。実はこれが私が生まれて初めて聴いた第九であった。
 この第九は私の中では未だに最高の第九になっている。冷静に考えてみても、N響が珍しく燃えていたし、ソリストや合唱もオーケストラに引っ張られるようにいいパフォーマンスをしていた。何より誰にとってもそうであるように「初めて」というものには特別な意味がある。

 この演奏は実はNHK-FMでも放送され、たまたまその演奏を録音したテープが私の実家に残っていた。この間帰ったとき見つけて聴いてみた。やはり名演である。燃えていながらも艶やかな響きは失われていない。これ以上力を入れたら響きが壊れてしまう、ギリギリのところでとどまっている。それをコントロールできるのはやはり指揮者の力量である。テープでは不安なのでデジタルデータに落とした。これで当分は安心である。

 CDの説明をしていないが、元々リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」について説明しようとしていたのであった。この曲に限って言えばカラヤンとベルリン・フィルの一枚が素晴らしい。前回散々けなしたカラヤンであるが、なぜかリヒャルト・シュトラウスの演奏はいいものが多い。それを探してしたらこの一枚が検索にかかった。このCDは偶然私も持っている。カラヤンほどではないが、確かに名演である。
 そう言えばコシュラーは、なぜかモーツァルトやリヒャルト・シュトラウスが得意であった。チェコの指揮者と言えばスメタナ、というステレオタイプの考えは捨てた方がいい。

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