カール・ベームという指揮者は何故か日本で人気があって、最晩年の頃など日本ではカラヤンやバーンスタインと同じような扱いを受けていた。勿論偉大な指揮者ではあるのだけれど、正直晩年の頃にはもう完全に枯れてしまっていて、映像でみたら指揮棒がどう動いているのか分からないような指揮しかできなかった。皮肉なことにそのような指揮でまともな演奏ができるのは世界でも超一流のオーケストラ、特にウィーン・フィルであり、またウィーン・フィルが彼に最大限の尊敬を払っていたこともあって、最晩年の録音は(好みを別にすれば)音の良い演奏であるという結果になっている。

 私が本当に薦めたいのはこの一枚ではなくて、ベームが1956年頃にウィーン交響楽団を指揮した一枚である。脂ののりきった頃の演奏で、現在多く出回っている晩年の演奏とは一線を画すエネルギッシュな名演である。しかし残念ながら現在廃盤である。それに対してこの一枚は、ウィーン・フィルは確かに素晴らしいが、いかんせんテンポが遅すぎる。同じウィーン・フィルを振ったバーンスタインの一枚と比べるとやはり見劣りする。何よりこの一枚は本当のベームではないように思う。

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