耳が聞こえなくなった作曲家というとベートーヴェンがあまりにも有名である。だがスメタナも忘れるわけにはいかない。スメタナが聴力を失っていったのはちょうどこの「わが祖国」を作曲中と言われ、有名な「モルダウ」の作曲にかかったときは完全に聴力がなかったという。そのような中にあってもなおこのような曲を残せることは驚きである。
 
 先日、チェコの指揮者はスメタナが得意というのはステレオタイプな考えであるといったが、その一方でチェコの指揮者がスメタナをレパートリーに入れているという事実もまた存在する。クーペリックがプラハの春の演奏会に復活した時の一枚もなかなか感動的であったが、演奏そのものはこのノイマンの方がいい。
 ヴァーツラフ・ノイマンはチェコフィルの常任を長くつとめた(1948-1950,1963-1988,1990-1995)だけあって、弦が素晴らしいが管がやや弱くて重い感じがするというこのオーケストラの特性をよく知っていて、うまく修正が為されている。これに比べるとクーペリックの方はやはり練習不足でやや雑な印象を受ける。
 バーンスタイン/ベルリン・フィルのマーラーの9番のように、歴史的なレコーディングはそうあるものではない。その意味でクーペリックの一枚は素晴らしい価値がある。しかしこういったオーケストラと良い関係を築いている指揮者の手になる普段着の演奏も是非聴いて頂きたい。

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