群馬大医学部(前橋市昭和町3)の今年度入学試験で、年齢を理由に不合格にしたのは不当だとして、東京都目黒区の主婦(55)が大学を相手取り、医学部医学科入学の許可を求める訴えを30日までに前橋地裁に起こした。

 訴状によると、主婦は今年度入試で医学部医学科を受験したが不合格となった。群馬大に個人情報の開示を請求すると、主婦のセンター試験と2次試験の総得点が、合格者の平均点を上回っていたことが判明。

 入試担当者に説明を求めたところ、55歳という年齢が問題となったという説明を非公式に受けたという。原告は「年齢を理由とした不合格判定は合格判定権の乱用」と主張している。
 群馬大総務課は「事実関係を調べたうえで対応を検討したい」と話している。

(毎日新聞) - 7月1日

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 医学部に高年齢者を入学させない大学があるのではないか、という噂はかねてからあり、群馬大はその一番手として必ずあげられている。

 年齢を理由に差別をするな、という姿勢には基本的に賛成だが、医学部の教育には非常に金がかかるという面もあるので、私が大学関係者なら、55歳の人を医学部に入学させるかどうかは、正直少し悩むと思う。私ならもう少し本人と追加の面接を行って動機や今後の見通しなどについて詳しく聴いてから判断したい。

 55歳で入学すると卒業時は61歳、2年の臨床研修を終わると63歳。勤務医の定年が65歳とすれば2年しか働けない。実家が開業しているとか自力で開業する当てがあるというのなら前向きに考えるだろうけど、そういう当てもないのに入学したい、と言われても、一人一億かかると言われる医学部の教育費をたった2年で償還できるわけがないから、やはり問題になると思う。

 投資に見合う効果が期待できなければ投資は無駄になる、そうなるくらいなら最初から投資しない。本人には確かに気の毒だけれども、そういった理由で入学を拒否したのなら、一応筋は通る。少なくとも明確で実現性の高い進路や地位が担保されてない限り、55歳の人を入学させないのは、現実的な判断であるといえよう。高いお金をかけて育てたのに2年やそこらで辞められても困るだけだ。

 学ぶ権利は確かに尊重しなければならないが、医学部は職と直結しているから、単に「学びたい」というだけでは門戸は開けない。原告の方がそういった医学部の特殊性をどのようにお考えになっておられるか、それに対して裁判所がどう判断するかは知りたいと思う。

 とにかく記事ではそのような細かいところは何も書かれていないので、想像するしかないのだが。

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